こんにちは、TEDASKのToshiです。
一度お仕事をしたお客さんと、最後にどんな言葉を交わしていますか?
私はずっと「また何かあれば、いつでもご連絡くださいね」でした。感じよく終われたし、困ったらまた声をかけてもらえるはず。そう思っていました。
でも実際には、そうならないことの方が多いんですよね。今回は、ポッドキャストの最新エピソードでも話した「顧客リスト」の使い方について、自分でやってみて分かったことを記録しておきます。
きっかけは小説『殺し屋の営業術』
この話をしようと思ったきっかけは、最近読んだ野宮有さんの小説『殺し屋の営業術』(第71回江戸川乱歩賞受賞作)です。Audibleでおすすめに出てきたので聴き始めたら止まらなくなって、一気に聴き終えました。
凄腕の営業マンが、ひょんなことから“殺し屋の営業”をすることになるというお話です。ストーリーそのものも面白いのですが、作中にBtoBの営業テクニックがたくさん散りばめられていて、営業を専門にしていない私のようなフリーランスには、そのまま試せるヒントが多い一冊でした。
中でも一番印象に残ったのが、顧客リストの扱い方です。具体的な中身はぜひ本で読んでいただきたいのですが、これを読んで、自分の顧客リストの使い方を見直してみようと思いました。
「リピーター待ち」は、受け身の仕事の取り方
Web制作の仕事は、リピーターさんが多い仕事だと思います。知り合いのデザイナーさんと話していても、やっぱり「リピートが多いよね」という話になります。一度仕事をすると、話が通じるし、進め方も分かっているので、次もお願いしやすいんですよね。
リピーターさんは本当にありがたい存在です。ただ裏を返すと、これは「困ったら連絡が来るだろう」という待ちの姿勢でもあります。次の依頼がいつ来るかは相手の都合次第で、自分ではコントロールできません。
お客さんは「覚えていてくれている」とは限らない
私たちは、一度仕事をしたら覚えてもらえていると思いがちです。でも実際には、プロジェクトが終わった時点で「一旦おしまい」になっていることが多いものです。
それに、発注する側に立ってみると分かるのですが、「またあの人にお願いしようかな」と思っても、一から状況を説明して連絡を取るのは意外と面倒です。まだ依頼するかどうかも決まっていない微妙な段階なら、なおさらです。
そんなときにこちらから連絡が来ると、お客さんにとってはむしろ楽だったりします。一回きりで終わったように見えるお客さんの中には、実は「提案待ち」の人もいるのではないか。そう考えるようになりました。
まずは顧客リストを作る
そこで出てくるのが顧客リストです。
私はDokuWikiという、自分専用のWikipediaのようなものを作れるオープンソースのツールに業務のことをまとめていて、その中に顧客リストがあります。今から作るなら、ObsidianやGoogleスプレッドシートで十分だと思います。
残しておきたいのは、次のような情報です。
- いつ、どんな仕事をしたか
- 最初の相談のきっかけ(問い合わせフォームから・紹介から、など)
- 最後にやり取りした日と、その手段
Obsidianなら、お客さんごとにフォルダを作り、ファイル名に日付とやり取りの手段を入れておくと、中身を開かなくても何をしたかが一目で分かります。ファイル名の付け方は、ポッドキャストのEp.16「仕事が捗るフォルダ名の付け方」で詳しく話しています。
一から全部作ろうとすると大変なので、直近2〜3年分を、印象に残っているお客さんから1日1〜2件ずつで大丈夫です。整理していくうちに、「この方には、こんな提案ができるかもしれない」というヒントがリストの中から見えてきます。
連絡するなら「2年」がひとつの目安
リストができたら、区切りのいいタイミングで「その後どうですか?」と連絡してみます。私は2年くらいがひとつの目安だと思っています。
2年経つと、事業の状況はだいぶ変わります。お客さんの中にも「ここを変えたい」「もっと便利にしたい」という気持ちが出てくる時期です。
実際に最近も、2年ちょっと前にWordPressの作業をさせていただいたお客さんに、「その後、バージョンアップなどは大丈夫そうですか?」と連絡してみました。すると、ちょうどサーバーの運用で悩んでいて移転を考えていたところだったそうで、「ドンピシャのタイミングで連絡をもらえて助かりました」と言っていただけました。そのままお手伝いすることになり、先日作業も無事に終わりました。
これは、待っていたら来なかった依頼だと思います。悩んではいても、自分から連絡するほどではなかった。こちらからの一通が、背中を押すきっかけになったのだと思います。
売り込みではなく「気にかけています」の連絡
とはいえ、送れば必ず仕事になるわけではありません。返事が来ないことも普通にありますし、確率で言えば決して高くはないです。
それでも送る価値があると思うのは、これが売り込みではなく「覚えていますよ、気にかけていますよ」という連絡だからです。フリーランスは、大きな会社のように営業と制作が分かれていません。お客さんと直接やり取りしてきた分、相手の状況をよく知っていて、一歩踏み込んだ提案ができるはずです。
連絡するときの工夫をひとつ挙げると、文末に「特にお困りごとがなければ、お返事は不要です」と一言添えることです。これだけで、お客さんは返信の負担を感じずに済みます。自分の近況や、お役に立ちそうな情報をひとつ添えるのもいいと思います。
まとめ:受け身の請負から、パートナーへ
- 顧客リストがなければ、まず1日1〜2件からまとめてみる
- リストがあるなら、2年くらいを目安に「その後どうですか?」と連絡してみる
- 売り込みではなく「気にかけています」のつもりで、返事は不要と添える
こちらから連絡することへの心理的なハードルは、送る回数を重ねるうちに少しずつ薄れていきました。提案すること自体も仕事のうちだと思えるようになると、「頼まれたら作る」だけの関係から、パートナーとして一緒に考える関係に変わっていく気がしています。
ポッドキャストの最新エピソードでは、顧客リストの作り方や連絡するときの考え方を、もう少し詳しく話しています。移動中や作業の合間にでも聴いてみてください。